「飛鳥(あすか)」と「明日香(あすか)」の意味と由来の違いについて、解説していきます。
「あすか」という読みの由来
「あすか」という読みは、外来語由来説や地形名称由来説などがありますが、はっきりとしたことはわかっていません。
「あすか」外来語説
「あすか」の外来語説には、サンスクリット語(アソカやアショーカ)、古代朝鮮語(「村」を意味する“スカ”に接頭語アが付いた)、海外地名(安宿の渡来人による転訛)などがあります。
「あすか」地形由来説
「あすか」の地形由来説には、川の中洲や砂州(ア+洲処)、河川が浅い場所(浅す河、浅す処)、土地の様子(荒処)、崩落地形(あす処)などがあります。
その他には、スズメの一種イスカや渡来人たちが大陸から飛来した冬鳥に由来する説、古語で禊などの神聖な意味を持つ「スカ」から来ているという説があります。
「飛鳥」の漢字の由来
「飛鳥」の漢字は、万葉集の枕詞や元号(天武朝の吉兆を意味する朱鳥を元号とした際に造営した浄御原宮に「飛鳥」と冠した)に由来するとされています。
「飛鳥」と「明日香」の意味と表記の違い
「飛鳥」は、現在は奈良県の歴史的地名であり、かつて大和国高市郡にあった地域を指します。現在の「奈良県高市郡明日香村」がこれにあたります。
飛鳥時代の政治・文化の中心地であり、多くの天皇の宮が置かれた地域です。
「飛鳥」と「明日香」の表記の違いは、和銅6年(713年)年に出された「好字二字令」により、「飛鳥」という地名表記が一般的になりました。
しかし、昭和31年(1956年)に「飛鳥村」「阪合村」「高市村」と3つの村が合併する際に「明日香村」が誕生、「明日香」の漢字の表記が採用されました。
この合併により、「飛鳥」と「明日香」の2つの漢字が現在も使用されています。時代や地方名を表記する時は「飛鳥時代」「飛鳥駅」「飛鳥地方」などを使用し、村名を表記する時は「明日香村」となります。
まとめ
漢字や読み方の由来はいろいろありますが、かつて「飛鳥」と呼ばれていた地域は3つの村が合併する際に「明日香」の漢字の表記が採用されました。そのため「明日香村」は、現在の地方公共団体名になります。
一方で、「飛鳥時代」「飛鳥駅」「飛鳥地方」などの場合、「飛鳥」を表記する場合もあります。